加藤兵太郎商店について
いいちみそ造りの特徴
味噌の長い歴史を考えてみると、先人たちの凄さを感じざるを得ません。麹の神秘に気付き、味噌にまで発展させてきた先人たちに対し、私たち現代の職人ができることは、ただひたすら真面目に造り、伝承していくことだと考えます。
味噌という食文化を残してきた先人たちに敬意を表し、昔ながらの味噌を造ることに全力を注ぐ。
「大切なのは、基本に忠実につくること」
この謙虚な姿勢が、品質の高い味噌を造り出せると信じて、味噌造りに励んでいます。
味の特徴
加藤兵太郎商店の味噌は全て、米麹と大豆と塩から造る「米みそ」です。
糀(米麹)
塩分濃度は白味噌も赤味噌も約12.0%※で、一般的に言えば辛口みそに分類されます。
※塩分濃度は熟成や漉しの工程で若干前後します。
麹歩合は種類によりますが、7歩~10歩です。
麹歩合とは「大豆10に対する米麹の割合」を表す言葉です。例えばいいちみその白みそは大豆10に対して米麹7を使用するため、「7歩(ななぶ)」と表現します。これは辛口みそに分類される割合です。
一般的に米麹の割合が多いと甘口で麹の香りが強くなり、大豆の割合が多いと大豆の旨みと香りが強くなる傾向にあります。
加藤兵太郎商店では辛口みそを醸造しておりますが、お客様からよく「いいちみそは甘く感じる」と言われることがあります。
これは、90年以上使用して酵母菌や乳酸菌が住み着いた木桶で熟成させることにより、加藤兵太郎商店だけの独特な味わいになっており、ただ辛いだけ・甘いだけの味噌とは違うからだと考えています。
また、辛い・甘いは好みであり、どちらの味噌にも価値があります。どちらにおいても大事なのは「旨み」だと考えています。
いいちみその旨み・香り
いいちみそで使用する大豆は煮るのではなく蒸しています。
白みそのキレイな白色を出すには、大豆は煮るのが一般的です。煮ることで大豆の着色を落とし、綺麗な白色にするためです。しかしこの工程で大豆の旨み・香りも落としてしまうことになります。
加藤兵太郎商店では旨み・香りの強い味噌を造るため、大豆を蒸しております。そのため、いいちみその白みそは多少色が濃かったりくすんでいる傾向にございますが、旨み・香りを感じていただけると思います。
ふっくらした蒸大豆
手造りの素晴らしさ
いいちみそは、ほぼ手造りでできています。ほとんどの工程を手作業で行っているため、非常に大変です。大量生産も不可能です。しかし、手作業には大きなメリットがあります。
お米の蒸し具合を肌で感じているところ
陳腐な表現かもしれませんが、味噌と会話しながら味噌造りができることです。各工程における手触りや香り、色、味など、五感を駆使し、さらに過去の膨大な記録や経験とにらめっこしながら、全ての味噌を全力で造っています。
愛情を込めて会話しながら造り上げた味噌、是非ご賞味ください。
五感を駆使して出来上がったお味噌